煩わしいわけではなかった。ただ、くすぐったかった。
その内慣れて、落ち着いて。馴染んでみたけれど。
けれど、やっぱり――。

日差しの心地良い午後だった。
　理由は、それだけ。散歩に立ち寄った木陰に座り込み、ぼんやりと空を仰ぐのは、たまにすると気持ちのいいもので。
　うつら、と意識ごと頭が傾ぐのを自覚して、ゆっくりと木に背を預けた。
「あ」
　声が聞こえたのは、ほんの少し眠りの淵に入り込んでいた頃だろう。
　聞き覚えはある。けれどそれが誰のものかがすぐに出てこなかったのは、半分寝ていたからだろう。
「そぉっと、そぉっと……」
　忍ばせきれてない足音と、さらに台無しにするような声。
　少しずつ覚醒する頭で考える、声の、気配の、主。
　浮かんだのは、陽の光を包み込んで、ふっくらと揺れる髪。
　花の香りがほんのりと漂う日もあれば、甘いお菓子の匂いが染み込んでいることもある。
　咲く花にも、照る陽にも、蕩ける蜜にもよく似た微笑。
　ふんわりとした陽だまり色の、少女――。
「できたっ！」
　零れた感嘆の声に、ちらり、と。薄く眼を開けて、確かめる。
　けれど、視界に入るのは少女の指先だけ。
　灰色の髪を摘まんで、己の腕に巻き付いていたリボンの先で、ちょこん、とリボン結びを作って。
　きっと、満足気な顔をしているのだろう。
　起きて、顔を合わせていれば、怪訝な顔をしていただろうけれど。今は、寝ているのだ。
　似合いもしないと悪態をつくのはやめて、大真面目に似合うと思っている彼女の戯れに付き合おう。
　ふふふー、ふふふー。何が楽しいのか、ふりふりとリボンを結えた髪を振っていた少女。
　その、満足気な顔が、視界に入る。
　リボンの結び目に、愛おしげに口付ける、姿が。
「おにーさん、だーいすき」
　へにゃり、嬉しそうに、幸せそうに笑った少女に、ひだまりが、よぎる。
　そこまでして、本当に満足したのだろう。少女はひょこりと立ち上がり、なんでもなかったように、踵を返す。
　さらさら、するり。髪に結わえられていたリボンがほどけ、少女の腕について、離れていく。
　その先端を、摘まんで。
　けれど、少女が気が付く前に、離して。
　くるり、結わえられていた髪を、指先で遊んで。
　妙に穏やかで温かくて、そんな心地のいい午後を、のんびりと、噛みしめていた。




皿田 候補生


ほわほわである(*´艸`)
かわういよう、ドリーたんかわういよう。
２２箇所のキス企画、第一弾その一。
同日納品されたものがございますゆえ、そのいち！
そのにもお綺麗なのよ、詳しくはウェブで！じゃないけど、どんどん納品されていくお披露目ページを見るがいい！

ともあれともあれ。ご相談の時から、きっとこんな感じだろうなって言うてたんで、いきおいにまかせてごーりごり。
ドリーたんは忍び寄るってできないと思うんだ。いや、お仕事とかで真面目にやったらできるんだろうけど、ばれても良いやって思ってるぐらいだったら、大真面目な顔でこゆことやっちゃいそうです。
かわいいね。可愛いね！！
ひとえに、まっすぐな思慕。
いつだって全力真っ直ぐなドリーたんが、飴さんは大好きですよ。
えへえへ、素敵なピンナップ、ありがとうございました(人´ｖ`)vV

キルフェ・ラウネンの一日は、昔から同じ毎日の繰り返しだった。
　陽の登り始めた頃に起きて、より早く起きている父母に挨拶をして。
　母の作った朝食を食べて、外へ。
　幼少の頃は近所で遊ぶだけだった時間は、次第に広がり、父の仕事に興味を覚え、スカイランナーとしての道を歩み始めた。
　親を真似た仕事を始め、休みの時間には友人と遊んで。
　けれどいつだって、陽の入る頃、街の大鐘が鳴る頃には家路につく。
　お帰りなさい。いつだって暖かく迎えてくれる母の夕食を食べて、星が瞬きを主張する頃には、眠る。

　――誰に課せられたわけでもなく、ただ、当たり前にそんな毎日を過ごしていたと、思っていた。

壁が黒い部屋。
　家具の白い、部屋。
　四人で暮らし始めた屋敷だけれど、内装は、今まで住んでいた部屋と、同じ風にして貰った。
　落ち着く世界に、一つの、違和感。
　『彼女』はどこから来て、どうして、此処にいるのだろう。

君と笑いあう一日目。

君と隣り合う二日目。

君と手を繋ぐ三日目。

君と星を見る四日目。

君を抱きしめる五日目。

君とキスをする六日目。


最後に、君とお休みを交し合って、また明日、


おはようを交わして君と笑いあいたい。