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TW3より飴(c05383)と花(c11349)の日記跡地。 現在の主な成分:頭の可哀相な背後。よその子ごめん。仮プレ。飴花の(背後に対する)不満。たまに遊びに来る喪(c08070)と石(c28018)。力関係はPC≧PL。
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 その日、ホストクラブの控え室には、見慣れぬ一品が並んでいた。
「わ、お雑煮?」
「甘いのが良きゃ、ぜんざいも作れるぜ?」
 お椀の中で湯気を立てるそれを、きらきらとした顔で見つめれば、にっ、と口角を吊り上げた男は言う。
 料理ができるのは知っていたが、レパートリーの豊富さには、驚くと同時に喜ばされた。
「食べて、いーい?」
 窺い覗くような顔には、どうぞと促すように微笑まれ。
 暖かなお椀を抱え上げて、一口、啜る。
「おーいしー。ふふ、今年最初のお餅ー」
「お? そうなのか。いい加減飽きたって言われる頃かと思ってた」
「残念ながら、今年はまだありつけてなくてねぇ」
 よく伸びる餅は、焼けた表面が香ばしい。出汁の味は、自分の馴染んでいたものとは少し違うだろうか。
 彼の育った環境の一端が垣間見れたようで、それもまた、嬉しく思う。
「折角だから、羽織くらい着てくるべきだったかな」
「汚しちまわねぇか?」
「えー、そんな行儀悪くないよぉ?」
 くすくす、冗談めかして笑いあう団欒の場は、暖かい。
 人が集まれば、なお。この温もりは増すのだろう。
 そんな暖かな時間が、始まって、続きますように。願いをこめるように、笑みを湛えて囁いた。
「今年も、宜しくね?」





作れるって信じてる。作ってくれるってry
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 あの、ね……。
 あけましておめでとうの後。続いた霞むほどに消え入りそうな声に、きょとん、首を傾げる男。
 黒い兎を抱きしめた少女は、ほんの少し言い淀んでいたけれど、意を決したように、見上げて。
「着物の着付けを、して、欲しいの……」
 だめ、かな…。
 少女のお願いに、浮かべたのは満面の笑み。
「勿論、喜んで。ふふ、おめでたいもんねぇ、目一杯、着飾ろ」
 黒衣の多い少女に、思い切って選んだのは赤とピンク。
 一面に描かれた鮮やかな花の名前を思い出しながら宛がって、男はさりげなく尋ねた。
「ね、誰に見せに行くの?」
 少女の心を占める、王子様の元だろうか。
 それとも、義理の両親や兄弟の元だろうか。
「ん、去年お世話になった、みんな、に……」
 優しい少女の口から紡がれた言葉に、ふわり、髪を梳きながら相好を崩す。
「それじゃ、沢山沢山歩き回っても平気なように、しっかり纏めないとね」
 くるりとまぁるく収まった銀に、何を添えよう。
 花に、リボンに、玉簪。取り揃え、指先で選びながら、やっぱりさりげなく、尋ねる。
「ねぇ、今年はどんな年にしたい?」
 華やかに開いた時間にしようか。
 しっかりと結びつける時間にしようか。
 丸く整った時間にしようか。
 欲張りに、全部纏めて盛り合わせたって、良いかもしれない。
「えっと……」
 考え込む少女が望むとおりに、素敵な時間が、巡りますように。




すっかりお父さん気分。
 新年だし、着物を着て挨拶回りにでも行かないか。
 誘いをかけたのは男の方からだった。
 会話の最中に共通の知り合いの名前が出て、どうせ逢いに行くのなら、目一杯着飾って一緒に行こう、と。
 それに少女が返したのは、驚き。こくこくと繰り返し頷いての了承に、男はにっこりと微笑んだ。
「それじゃ、お着替えたーいむ。判らないところは、呼んでね?」
 店の一室を頼み込んで貸してもらい、ぐいぐい、着物と一緒に少女を押し込んだ男の顔は、ほんのちょっぴり、悪い顔をしていた。
 それから、小一時間後。
 少女が個室で悪戦苦闘している間に、男はすっかり準備を整えてしまったようで。
 鏡を見つめて髪を弄りなおしていると、あの、と控えめな声が聞こえてきた。
「た、たぶん、できたと思いますが……」
「本当? みーせて」
 ねだるように言いながら、ちょこちょこ、カーテンの前に歩み寄って。さっと開けば、着物姿の可愛らしい少女がお目見えした。
「苦しくなぁい? 大丈夫なら、髪もやっちゃおうか」
 恥ずかしいのか、俯いたままの少女に微笑みかけて、顔を上げるように促す。
 と。
「……ニア様、その、格好は……」
「え?」
 なぁに、とでも言いたげに小首を傾げたのは、振袖美人。
 少女と揃いの着物を纏い、華やかな簪にメイク。店では見ない、女の姿に、少女は一瞬、驚いた。
 驚いたけれど、よくよく見れば、その着物が、自分の着ているのと揃いである事に、気付く。
「お揃い。着てみたかったんだけど、駄目だった?」
「い、いいえ! …え、お揃……」
「そ。お、そ、ろ、い」
 ちらりと振り返った鏡には、紛れも無く揃いの着物を着た二人の姿。
 違う点といえば髪の色と、表情にある余裕の程度だろうか。
 にこにこと楽しげな男に対して、少女は真っ赤になっていて、ぎこちない。
「え、あの、本当にこれで……」
「さぁ、いこうか」
 年が明けようが女を纏おうが、男が意地悪なのに、変りは無かったけれど。
 引く手が優しく感じるのも、変らないような気がしていた。




お揃いって響き、良いよね。
 いつもの通りに纏われた服。
 いつもの通りに結われた髪。
 物足りないなぁ。小さく呟けば、きょとんとした顔で見つめられた。
「振袖って、あるやん。ほら、前に天国で着んかった?」
「見た覚えはあるが、実際に着てみたことは無い気がするな…浴衣とは違う感じなのか」
「大分違うよぉ。ふふ、百聞は一見にしかずて、言うやんね」
 にっこり、微笑んで。ぱ、と手をとり、連れ出す。
 どこへと問われれば、内緒と返して。足早にたどり着いたのは、少し質素な、宿のように見える場所。
「ここ、うちの衣裳部屋があるんよ。振袖にはちょっと足らんけど、良かったら一緒に着物着て、歩いてみん?」
 新年。読んで字のごとく、新しい年。
 明けの慶びに誘われて、ちょっと浮かれた装いをしてみても、良いじゃないかと。
 窺うようにしながらも、ねだるような調子で小首を傾げれば、思案はほんの少し。
 こくりと頷いて、女は艶やかな布に手を伸ばす。
「気に入りそうなもの、ある?」
「ありすぎて目移りしているところだな。どれが良いと思う?」
「んー、やっぱ明るい色がええかなぁ……」
 女の子同士のショッピングさながらに、鏡の前を行ったり来たりしながら、暫し布の世界で戯れて。
 選んだ着物をきちんと着付けて立った時には、女の口から感嘆が漏れる。
「こういうのを、馬子にも衣装、と言うんだったかな」
 合わせられた襟元を指先でなぞり、鏡の中の自分を違うもののような目で見つめる彼女に、男はゆるく微笑んで。
「うちはどっちかちゅうと、服の方が負けて見えるけどね?」
 ちょん。仕上げに、結い上げられた髪に花飾りを添えた。
「お散歩、いってくれる?」
 外を歩けばきっと、知った顔とも会うだろうけれど。
 彼らも皆、いつもと違った姿に、相好を崩してくれるに違いない。




着飾りたい。飾ったら見せびらかしたい。
 ふと、何かに気付いた傍らの男が、ゆるりと視線を上に上げて。
 物凄く嫌そうな顔をしたのを見つけ、つられたように見上げる。
「あけましておめでとうっすよー!」
 ひょい、と。宙から降って降りてきた白い少女に、同じ白を持つ男はにこりと微笑みかけ、若干の黒を混ぜた男の方は、露骨に視線を逸らした。
「おめでとさん。朝から元気やねぇ。お仕事?」
「今日は挨拶回りっす。お二人はお買い物に?」
「そーそ。お隣さん誘て、初売り覗きにぶらぶらーっとね」
 ねー、と声をかけても、そっぽを向いたままの男は視線一つ向けはしない。どうやら、無視を貫くつもりらしい。
 くすくす、白と白はそんな様子に顔を見合わせて笑い合って。
「ホント、付き合いいっすね!」
「煩ぇよ誰がだ誰が」
 じろ、と睨む視線と、思わず返した台詞に、してやったりと言わんばかりににんまりと返した少女。
 それに、頭痛を抑えるような仕草で溜息をついてから、「手出せ」と要求する。
「お年玉でもくれるんすか?」
 ころん、ころん。
 けらけら笑いながら差し出された手のひらに転がる、飴玉二つ。
「ガキの駄賃ならこれで十分だろ」
「あ、じゃぁこれうちの分ってことで」
「勝手に出してんじゃねーよ」
 ころん、ころん。
 文句を言いつつも止めはしないのを判っていて、男の袋から勝手に取り出した飴二つを追加。
 お疲れ様。そう言って笑う顔を、見上げて。
「ありがたく頂くっす!」
 屈託無く笑う少女に、心ひそかに和んだ、昼下がり。






折角二人とも知り合いなんだからって、飴さんにも出張って貰った。
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プロフィール
HN:
飴と花
性別:
男性
自己紹介:
飴:キルフェ。不機嫌なお友達
花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋

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