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TW3より飴(c05383)と花(c11349)の日記跡地。 現在の主な成分:頭の可哀相な背後。よその子ごめん。仮プレ。飴花の(背後に対する)不満。たまに遊びに来る喪(c08070)と石(c28018)。力関係はPC≧PL。
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 開口一番に尋ねた顔は、何故だか晴れ晴れとしていて。
 何故だか、腹が立って。思わず頭を小突いてやった。

+ + + + + + + + + +
 一人掛けのソファ。膝を抱えて座り込んで、一人でやたら喋っている男は、どこかで引っ掛けてきたのか、酒の匂いがしていた。
 それほど暖かくも無いはずの部屋の中で、袖の無いシャツ一枚。
 降ろした髪が、話しながら揺れる頭に合わせて、肩を滑り、流れる。
 ただただ、上機嫌だった。
 それがただただ気持ち悪く見えて、奇妙なものを見るような目で、少し離れた位置で同じタイプのソファに身を沈めた男は見つめていた。
 珍しく、見つめていた。
「それでねぇ――」
 話は尽きない。一人で喋っているのに、尽きない。
 誰それと会っただの、何を話しただの、美味しいものを食べただの、可愛いものを見つけただの、貰っただの。
 朝から晩まで騒いで騒いで、思い出作りに勤しんで。
 ――そうして、引きずるほどに重たい荷物を抱えて、どこへ行く気だったのか。
 憑き物が落ちたような顔をしている男の考えなど知る由も無いが、急いたように何かを掻き集めていた何時かの頃を思えば、随分と面倒な部分が消えたようにも、思えてならない。
「……あれ?」
「……? なに」
 不意に、止まった口。
 今までひっきりなしに回っていたそれが突然停止して、不思議そうな顔で見つめてくるものだから、思わず怪訝な顔を、した。
 そう、「した」のだ。
 ずっと訝しんだ顔をしていたつもりだったが、いつの、間にか。その表情が緩んでいた事を、自覚した。
 そして、それを気取ったかのように、白い男はへらりと微笑んだ。
「珍しー」
「……煩ぇよ」
 ソファごとひっくり返してやろうかと一瞬考えたが、届く範囲では無く、諦めた。
 代わりに悪態を零してそっぽを向いて……けれどすぐに、思い出したような顔で、振り返る。
 脳裏をよぎったのは、冬の頭のやり取り。
 さむい時間を乗り切るための背中は要らないと、豪語した男の、泣き出すんじゃなかろうかと思えた、顔。
「良かったな」
 口をついた言葉。
 ぱちくりと瞬かれた瞳。
 それから、はにかんだような、笑み。
「うん。ありがと」
 幸せそうなその顔にも、きっと、同じ台詞が合うのだろう。

 縋る背中は、要らないよ。
 だって、こんなにも暖かいのだから。
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プロフィール
HN:
飴と花
性別:
男性
自己紹介:
飴:キルフェ。不機嫌なお友達
花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋

メッセ登録してみました。
出現率は低率の予感ですがお気軽に
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