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TW3より飴(c05383)と花(c11349)の日記跡地。 現在の主な成分:頭の可哀相な背後。よその子ごめん。仮プレ。飴花の(背後に対する)不満。たまに遊びに来る喪(c08070)と石(c28018)。力関係はPC≧PL。
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空の色が紺から暁へと変わっていくのをぼんやり、鐘の無くなった鐘突き台から眺めて、ひらり、地上へと戻る。
真っ直ぐ向かったのは、未だ街の人間の大半が過ごしている、集会場。
「父さん」
呼べば、その人はすぐに、気が付いた。

+ + + + + + + + + +

 先日ぶりの姿は、何も変わっていない。
 特別やつれた様子もなければ、特別元気そうにも見えない。
 ただ、穏やかな笑顔を向けながら、自分を見つめる瞳にかすかな悲嘆が過っているのには、気が付いた。
 ――昔、から。
 人の目を見るのが、癖だった。
 生まれつきの力は、母を護るための物だと理解して使ってきたけれど、物心がつくにしたがって、その範囲は広がった。
 父へ、友人へ、街の人間へ。
 誰にも気取られ無いように、自然に、自然に、不幸な結末を変えてきた。
 だから、人の目の色は、良く見えていた。
 そして、昔、から。
 人の目を見るのが、苦手だった。
 つぃと一瞬だけ逸らして、また、戻す。
 瞳の位置より少しだけ、下へ。
「墓荒らしの話、聞いたんだけど」
「あぁ、エンドブレイカーの人たちが、解決してくれたそうだよ」
「そう」
 父は、知らない。自分の息子がその一員であることを。
 父は、未だに知らない。自分の息子が、エンドブレイカーであることを。
 怪我をさせてしまった一人の姿を思い起こして、本当は、自分が出ていれば、彼らももっと素直に場を離れていたのかもしれないと、今だからこそ思うけれど。
 それでも、知られたくは無かった。
 ――知っていたのなら、どうして――。
 やり場のない憤りが吐き出させた言葉だとは理解しているけれど。もう、聞きたくなかった。
「父さん、あのさ」
 視線を、落とす。以前、拒絶した母の形見は、今もまだ、彼の腕にあった。
 きらり、と。月明かりとランタンの炎に照らされて光った、見知らぬ誰かのネックレスが、記憶に過る。
 奪われたのが、それではない事を、あの時だって理解していたけれど。
 奪われたのが、それだったら。そう、思えば、心が冷えたから。
「母さんのネックレス、俺に頂戴」
 呪いでも、良いから。
 目と手の、届く場所に。
 願いと共に向けられた息子の瞳を、真っ直ぐに見つめ返した父の顔には、驚きがあった。
 理由は知らなかったけれど。いつだって素直だった息子が初めて示した拒絶は、きっと余程の事で。それが覆るとは思わなかったのだろう。
 驚きは、緩やかに安堵に変わっていく。
 自身の腕に巻いたそれを、一度愛おしげに撫でてから、ゆっくりとはずし、差し出した。
「無くすなよ」
「無くさねーよ」
 受け取ったネックレスは、思いのほか、軽かった。

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プロフィール
HN:
飴と花
性別:
男性
自己紹介:
飴:キルフェ。不機嫌なお友達
花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋

メッセ登録してみました。
出現率は低率の予感ですがお気軽に
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