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TW3より飴(c05383)と花(c11349)の日記跡地。 現在の主な成分:頭の可哀相な背後。よその子ごめん。仮プレ。飴花の(背後に対する)不満。たまに遊びに来る喪(c08070)と石(c28018)。力関係はPC≧PL。
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瓦礫の山を見つめて、けれど呆然とする間もなく、足を踏み入れた。
 肩に、子兎を乗せて、ただ、見知った猫を探して駆けた。




+ + + + + + + + + +


 その場所を、知らないわけではなかった。
 風の噂で聞いた場所。
 それが、記憶の端に、何故だか存在していた。
 いつか、いつか、遠い昔。
 くまのぬいぐるみを届けた場所――。
「あ……足音」
 肩の子兎が、ぽつりと呟くのを聞き留めて、足を止めた。くるりと視線を巡らせて、物陰に潜む。
 幾つもの足音が、次第に耳に届いてくる。横切るのを待って、十分遠のいてから、確かめるように見た背中は、ごろつきに似た風体。
 毛むくじゃらの頭が、貧相な防具の隙間から覗く辺り、バルバなのだろう。
 人との遭遇は、極力避けて行く。子兎と共に頷き合っての調査は、まるで潜入にも似ていた。
 かつて故郷と呼んだ場所は、既に、敵の手に落ちていたのだから。
「――跳ぶぞ。捕まってろ」
 家だったもの、彫像だったもの、街路樹だったもの。
 形を忘れたように横たわる瓦礫を飛び越えて、すっかり様変わりして当てにならない情景を頼りに駆ける。
 悲鳴も喧噪も聞こえない振りをするたびに、肩に爪が食い込むのを感じたけれど、それも、気付かない振りをした。
 やがてたどり着いたのは、年の、上層に位置する空間。
 もっとも、上下の区別など初めからなかったかのように、一塊の瓦礫と化しているのは、ここへ来るまでに嫌と言うほど認識していたけれど。
「こ、ここ、なのか……?」
「……さぁ」
 震える声に返す、曖昧な返事。
 その場所を、探している猫の居場所だとは、お互い思いたくなかった。
 人気のない、廃墟。
 通り掛けに耳朶を貫いたような悲鳴も、喧噪も、なにもない場所。
 何処からかあがったのだろう、火の燻る匂いが、ほんの少し過るけれど、濃密な血のにおいなどは、感じられなかった。
 あらゆる気配が希薄に感じられるその場所を、ほんの少しだけ眺めて。それから、何を言うでもなく踵を返した。
 足を止めている暇は、無い。
「廃屋は――」
 無事だろうか。駆け出す刹那に、霞むような声が響いたけれど、風と共に流れて消えた。
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飴と花
性別:
男性
自己紹介:
飴:キルフェ。不機嫌なお友達
花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋

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