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TW3より飴(c05383)と花(c11349)の日記跡地。 現在の主な成分:頭の可哀相な背後。よその子ごめん。仮プレ。飴花の(背後に対する)不満。たまに遊びに来る喪(c08070)と石(c28018)。力関係はPC≧PL。
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君と笑いあう一日目。

君と隣り合う二日目。

君と手を繋ぐ三日目。

君と星を見る四日目。

君を抱きしめる五日目。

君とキスをする六日目。


最後に、君とお休みを交し合って、また明日、


おはようを交わして君と笑いあいたい。





+ + + + + + + + + +


「――で、物の見事に大当たりってわけっす」
「それは……ふふ、おめでとうって言えば良いのか、お気の毒って言えば良いのか……」
 語る少女の話に、くすくすと笑みを返しながら困ったような顔をして見せれば、きらり、面白いものを見つけたように少女の目が光る。
「おめでとうって言った時の反応をぜひ」
「えー、なんか怖いなぁ」
 クッキーを片手に笑う少女。話す話題は、最近では共通の知人の件が多い。
 その知人の前で彼女の話をすると、嫌そうな顔をされるわけだけれど。
「あ、それはそうと――」
 楽しげな表情。知人曰く「良く回る口」が、時折悪戯げに吊り上がるのは、知っている。
 けれど、そんな時折も愛らしいし。何より、こうして無邪気に笑う常を知っているから、微笑ましいばかりだった。
「……? なんか、ついてるっすかー?」
 クッキーを頬張った口元をぺたぺたと確かめる少女に、ゆるりと首を振って。
「なんでもない」
 可愛らしいなと思ったなんて、たまには言ってみても良いのだろうけれど。
 咲いた花のような笑顔の方が、穏やかに晴れた今日という日に合っている気がした。






 ふわふわのスポンジに、生クリーム。
 白に飾る苺の赤も、チョコレートのビターな色も、全てをきらきらと許容するクリスタルのカーテン。
 眩しいくらいのシャンデリアの下で、一層煌めいた瞳で、少女はケーキを頬張った。
「ん……おいしい」
 へにゃりと頬を緩めて笑う少女の傍らで、さりげなく、それを見つめる。
 ゴシックにフリル。黒が包むのは柔らかな白い肌と、まだまだあどけなさを模る兎の目。
 食べるのを邪魔しないように、零れる銀糸を指先だけで掬って、また零す。
 グラスの氷がからりと音を立てるのに合わせて、少女がふと、顔を上げる。
 視線が合えば、きょとりとした顔。
「……ガルは、食べないの……?」
 可愛らしいケーキを前に小首を傾げる少女こそ、甘くて美味しそうで。
 けれど、伸ばした手に添えるのは、やっぱり、微笑ましさ。
 ふんわりと頭を撫でた手のひらを、少女は擽ったそうに受け止めた。
「ケーキ、美味しい?」
「……おいしい、よ……?」
「それなら、何より」
 傍らの君が満たされた顔をするのが、月が顔を出した頃の時間に齎された、至福。






 人の通りの間をするりと抜ける。繋いだ手のひら越しに、ほんの少し小走りになるのに気が付いて、緩やかにペースを落とす。
 待って、とは言わない少女は、けれどはぐれまいとしてか、しっかりと手を握り締めてくる。
 かさりと音の鳴る袋の中には、小物に雑貨、気まぐれに拾った花。
 次はどこへ行こうかと思案をして、ふと、思いつく。
「ねぇ、髪飾りは好き?」
 尋ねる声は、雑踏に紛れながらも、少女に届いたようで。
 ぱちくりとした瞳が一度見上げてから、そ、と確かめるように髪に触れる。
 考えるように落とした視線が見つめるのは、自分の服。
 普段と限りなく近い、けれど普段よりも少しだけ華やかさを足した服は、いの一番に訪れた店で買ったもの。
 慣れぬ服を着て歩く少女の頬は、ほんのりと色づいていた。
「好き嫌いは、特に有りませんが……」
「じゃぁ、買っちゃおう。つけてくれるよね?」
「へ、変な物でなければ……」
 くしゃり、髪を弄って、泳いだ視線をゆるゆると見上げる位置に戻した少女の消え入りそうな声に、零れたのは、微笑。
「任せてよ」
 もう少ししたらお茶でもしようかな。未だ陽の高いままの天井を仰いで思案するショッピングプラン。
 手のひらを引けば、また歩みが始まる。






「あ。流れ星」
 なんて、ちょっとしたロマンスを醸し出すような台詞を吐いてみた。
 展望台に並んだ男は、加えた煙草がちりと長さを縮めるのを見届けてから、同じ空を見上げる。
「願い事は済んだか?」
「んーん。間に合わなかった」
 そもそも流れてもいない。折角の星空を前に、眼下の街並みばかりを見下ろす男の視線を持ち上げるための、ささやかな嘘。
 気付いているのか、いないのか。知れないながらも成功したことをひそりと喜ばしく思いつつ、ちらり、その横顔を見つめる。
 見つめるだけで、何を言うわけでもないけれど。
 瞬く星は、明滅を繰り返しては、一つ一つ消えていくように見える。
 昼間から遊び倒して、夜。真夜中にもなれば、星も月も眠りについて、一日の終わりを否応なしに告げてくるのだろう。
 遊んだ時間が楽しければ楽しいほど、その終わりの瞬間が空しく感じる。
 知らずの内に零れかけた溜息は、飲み込んで。代わりに、緩く口角を上げる。
「また遊ぼうね」
 燻らせた煙の行先を追いかけていた顔が、相槌を返しながら振り返る。
「明日も、晴れたらいいな」
 浮かべられた笑みに、そうだねと返すのを、満天の星空はただ、広がり見下ろしていた。






 大人同士、話に添える肴とくれば、たまの選択肢として酒が挙がるのは至極当然で。
 だけれど誰も彼もが強いかといえば、それはまた違う話でもあって。
 ゆったりとした一人掛けのソファの上で、ふにゃりと甘えるような顔をした少女が、猫のようにすり寄る。
「酔ってるの? 大丈夫?」
 首元に触れる髪がくすぐったいと思いながらも、嫌な感覚では、無くて。
 むしろ、好ましさに思わず肩に手を回して、ほんの少し引き寄せた。宥めるように、ぽんぽんと、背を叩きながら。
「ん、へい、き。ガルが温かいから…ちょっと、気持ちよくなっただけ」
 酔いに赤らんだ頬で笑うのは、大人の女性の雰囲気を湛えながらも、まだ、あどけなさを残した少女の顔。
 見つめていると、穏やかな気分になる。
 春を彩る花のように、繊細で儚げな印象が強かった少女は、いつの間にか大きく育っていた。
 伸ばした枝に咲く花は、ちょっとやそっとの風では散るまい。
「……温かいのは、メイの方」
 それでも、腕の中の温もりが愛おしくて仕方がないから。
 柔らかな髪をふわふわと撫でて、甘えたな子猫をそっと抱きしめる。






 日が落ちて、夜の帳が降りてこそ賑わう界隈。
 気まぐれに纏ったのは常と同じようで、けれど常よりも華やかさを増した装い。
 試しに纏めた髪が思いのほか上手く整って、ご機嫌だった。
「珍しい香り」
 楽しげな口元が、尋ねるような音を伴って紡ぐ。
 示されたのは、ささやかな灯りの中で揺れる、煙管の先端。
 甘さを孕んだ煙は、ほの暗い部屋の中だからこそ、馴染んで、映えた。
「吸うてみる?」
 サングラス越しの視線は、漂う煙と同じで、甘い。
 ゆるりと悪戯げに吊られた口角は、けれど煙管を手にした指に遮られて、すぐに隠れる。
 手のひらをついて、傍へ寄って。身を乗り出して、手を伸ばす。
 遮る指を退けて、甘い香りをほんの一瞬、堪能して。
「じゃぁ、お言葉に甘えて」
 頬に添えた指の意味を、彼は気が付かないはずはないけれど。
 絡めた視線の端で、君の唇が柔らかく微笑んだ気がするから――。






「ね、おいでよ」
 ころりと転がったソファの上。テーブルに広げたお菓子を一撮みしていた彼女に微笑みかければ、伸ばした手に指が添えられる。
「もう、寝てしまうん?」
「さぁ、どうだろう。もう少し温かければ、眠れるかもね」
 くすり、顔を見合わせ笑いあえば、彼女は添えた指でそのまま腕をたどり、胸元へ落ち着くと、その上に、体ごと乗せた。
 ころりと転がって、位置を確かめるようにもぞもぞとしてから、ひょこりと顔を上げて、覗く。
「これなら、あったまる?」
 それとも、おもたい?
 ことりと首を傾げる、自信たっぷりの表情に、小さく笑みを零して、ふわりと頭を撫でた。
「重たくないよ。あったかい」
 人肌の温もり。その心地よさに、ランタンの照らす影と同じように、ゆらゆら、意識が揺れる。
「なんや、ガルの心音が、子守唄みたい」
 とくとくと繰り返す鼓動は、優しい音を奏でられているだろうか。
 夜も遅いよと囁くように深まる影を、ぼんやりと見つめて、揺蕩う心地に、囁いた。
「おやすみ」






 扉の開く音がして、意識がぼんやりと浮上する。
 ゆっくりと開いた視界には、床。
「んー……」
「いい加減起きろ」
 小さく呻いて身じろぐのを見つけて、彼は呆れた声をぶつけてくる。
 促されるまま体を起こして、ゆらりと身体を傾げれば、丁度良く凭れ掛かれる、ふかふか。
 ぱちぱちと瞬きを繰り返しつつも、再び夢に溺れそうになる意識を引きずりあげるように、ぎしり、やや乱暴な音を立てて、ふかふかが軋んだ。
「あんた、もういっそ床に直で寝たら?」
 再びの呆れ声に、体を起こして。はっきりしてきた意識が、ベッドに腰を掛ける彼を見上げる。
 ぺたり。片手で探った足元には、毛足の短い絨毯。
「……検討する」
 いつの間にか転げ落ちていたベッド。寝間着に来ていた浴衣は、今日はまだちゃんと身についていた。
 ふかふかのベッドに肘をついて、くしゃくしゃの髪を掻き上げれば、ブラシが手渡される。
「まぁ、見てる分には面白いけど」
「うー……直したいと思ってるんだよ、これでも」
 手を伸ばせば、彼の手元にあるカップが目に入る。愛飲は珈琲だという事を、覚えている。
「ねー、俺の分は?」
「着替えてからにしろよ」
「あ、あるんだ。ありがとー」
 へらりと笑えば、隣室の彼は肩を竦めて立ち上がる。向けられた背中に、思い出したように声をかける。
「おはよ」
 口を付けたカップから、ほんの少しだけ珈琲を啜って。
 ゆるりと振り返った彼は、かすかに微笑んだ。



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HN:
飴と花
性別:
男性
自己紹介:
飴:キルフェ。不機嫌なお友達
花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋

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