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TW3より飴(c05383)と花(c11349)の日記跡地。 現在の主な成分:頭の可哀相な背後。よその子ごめん。仮プレ。飴花の(背後に対する)不満。たまに遊びに来る喪(c08070)と石(c28018)。力関係はPC≧PL。
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 思い起こす、誰かと誰か。
 語らぬ淵の裏側の、懐かしい記憶――。

+ + + + + + + + + +
「馬鹿野郎!!」

 がっ、と。怒鳴り声と一緒に振り上げられた拳が、頬に叩きつけられる。
 冷たく濡れたその場所に、ほんの一瞬の温もりと、すぐにじわじわ滲む熱が、与えられる。

「いっ、た……ちょ、明日も舞台あるんに顔殴る事ないやん!」
「うるっせぇ! お前が心底馬鹿だからだよこの馬鹿!」
「昔っから良ぉ言うけどなぁ、馬鹿って言う方が馬鹿なんよ!」

 ぎゃん、ぎゃん。怒鳴る声と金きり声が、文句の応酬をしているのを、ある者はうろたえた表情で見つめ、ある者は呆れたように苦笑して。
 やれやれ、肩を竦めた女性が、まぁまぁ、と仲裁に入ったのは、およそ五分が経過してから。

「ガルもアギラも落ち着きなさいな。ずぶ濡れの「女の子」放っておくわけにも行かないでしょ?」
「自業自得だろ!」
「判って行ってるもん!」
「はーいはいはい、喧嘩はそこまで。ガル、おいで。タオルと着替え出したげる」

 つん、と互いにそっぽを向いた二人の片割れを引きずって、女性はぱたり、「男子禁制」と大きく張り紙のされた個室の扉を閉めた。
 ぽたぽたと水の滴る髪は、揺れるランタンの灯りに照らされながら、きらきらと白く輝いている。けれどそれよりも、その髪の張り付いた顔の方が、白く見えた。
 赤く腫れた頬を押さえ、膨れる唇は、いつもは赤い紅を差しているのに、今は濃い紫色に変わっている。
 かたかたと震える指先は、ずっしりと水を含んだ着物の袖に隠しているようだが、誰がどう見ても、凍えていた。

「馬鹿だねぇ、あんたも」
「……ぐーで殴るほどの事やなくない?」
「さすがにぐーでは行かないけど、あたしだってやるだろうね。なんなら反対側、やったげようか?」
「……遠慮しとく」

 しょぼくれた顔で俯く姿に、くすりと笑って。代わりの着物とタオルを差し出すと、前髪の影になっていた瞳を、そっと覗く。
 髪も、服も、肌も、濡れて、冷えて、色を無くして見えるのに、金色の瞳だけは、鮮やかに、赤く染まっていた。

「痛かった?」
「うん」
「寒かったでしょ、外」
「……うん」

 受け取ったタオルを、頭から被って。俯いてふかふかの塊になった頭を、ぐしゃぐしゃ、拭うようにして掻き回してやる。
 彼女は、知らない。
 この場所に来るより以前の、この濡れ鼠の素性を。
 ただ、彼女は知っていた。
 いつでも強気で挑戦的なこの「女の子」が、寂しがり屋で泣き虫な青年だという事を。
 それは街と街とを渡る旅芸人一座において、長く長く二人きりな「女」だけの、秘密。

「……クラ」
「うん?」
「ごめん」
「……うん」

 ぽたぽたと、雫が滴る。
 かたかたと、震える身体を、暖めてやる。

「はれるやろか」
「はれるんじゃないかな」

 明日には、きっと。
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HN:
飴と花
性別:
男性
自己紹介:
飴:キルフェ。不機嫌なお友達
花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋

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