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TW3より飴(c05383)と花(c11349)の日記跡地。 現在の主な成分:頭の可哀相な背後。よその子ごめん。仮プレ。飴花の(背後に対する)不満。たまに遊びに来る喪(c08070)と石(c28018)。力関係はPC≧PL。
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 それは空だけが覗ける絶好のスポット。
 ただぼんやりしたい時にはそこに転がり、描かれた青の中にゆらりと流れる白を、眺めていた。
 そんな場所ではあるが、周囲に何も無いわけではない。ただ単純に、色々な遮蔽物が多いだけの、街中だ。
 ――だからこそ、こんな光景も、覗くことができたりするのだ。

+ + + + + + + + + +
 眼下には人通りの少ない、道。そこを、一人の青年が横切っていた。
 見知ったその顔に、眉を寄せ。少し影に潜むように身を引いて、ふと、気が付く。
 青年の後ろに、もう一つ、小さな影が付いて回っていることに。
 やや距離を開け、建物の影にすっぽりと潜り込みながらじっと青年の様子を窺っているのもまた、既知の――少しだけ、懐かしい顔。
 もう随分と見かけていなかったそれを、思い出せた自分の記憶力に、自嘲したような笑みを零しつつ、今度は少しだけ身を乗り出して、様子を窺った。
 青年が角を曲がれば、小さな影はぱたぱたとそれを追いかけ、同じ角を曲がろうとして、慌てて引き返し、そろり、改めて顔だけを覗かせる。
 青年が何やら立ち止まってきょろりと辺りを見渡せば、やはり慌てて建物の影にぎゅぅと小さな体を寄せて、再び歩き出すまでを待って。
 待って、それから、落胆したように表情を暗くした。
 そんな光景が路地二つ分くらい、続いて。
 何気なく目で追っていた視線に、ふと、青年の困ったような笑顔が映った。
 どこか幸せを孕んだような、けれど、それを押し留めようとしているような、そんな顔を、静かな微笑に置き換えて、踵を返すと。
 なーに、してんだよ。
 遠すぎるその場所から、紡がれただろう声は、聞こえなかったけれど。微笑を湛えて影を覗き込んだ青年は、そう言ったように見えた。
 ぎょっとしたように一度跳ねた小さな影……少女は、ぱたぱた、よく判らない手の動きをさせてから、ぎゅっと、自分の服の裾を掴んで、俯いて。
 きっと、何かを言ったのだろう。
 ぷるぷると震えて見える姿を見て、微笑ましげに笑う青年は。
 幸せそうに、少女の頭を撫でて、小さな手のひらを掴んだ。
 路地の向こうを指差して歩き出す青年に手を引かれた少女は、頬を染めながら、嬉しそうに笑って、頷いていた。
「……ふぅん」 
その姿が見えなくなるまで追いかけて、それから、何気なく呟く。
 その口元がかすかに笑みを浮かべていたことには、気が付かないまま。
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プロフィール
HN:
飴と花
性別:
男性
自己紹介:
飴:キルフェ。不機嫌なお友達
花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋

メッセ登録してみました。
出現率は低率の予感ですがお気軽に
mai-maieb@hotmail.co.jp
登録時にはメールも一緒に送ってくださると確実です

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