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TW3より飴(c05383)と花(c11349)の日記跡地。 現在の主な成分:頭の可哀相な背後。よその子ごめん。仮プレ。飴花の(背後に対する)不満。たまに遊びに来る喪(c08070)と石(c28018)。力関係はPC≧PL。
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「気、入れすぎじゃねーの」
 冷めた声が、すぅ、と胸中に沁みて。
 昂ぶった心が少しだけ、落ち着いたような気がした。

+ + + + + + + + + +
 その夜は月の灯りもなく、薄ら暗いばかりの室内。
 ゆら、とランプの炎が、黒いテーブルの上で揺れる向こう側で。いつの間にいたのか、壁に瀬を預け、腕を組み、じっと、珍しくも見つめる視線を投げかけてくる男を見つける。
 かけられた声と同じく冷めた視線。濃く深い鮮血色は、炎の煌きを映しこんでなお、暗い。
 うつろ、流れていきそうな眼差しで、見つめ返して。
 ふ、と小さく、笑った。
「そりゃぁ、気合も入るよ。なんてったって、愛しい彼女へ告白に行くんだから」
「……あんたらしいけど……あえて、言うぞ。愛の告白にしちゃぁ、随分と物騒な面してるな」
 ため息は、きっと零す直前で飲み込んだのだろう。妙な気遣いに、胸の内がむず痒くなったような気がして、つい、声をあげて笑っていた。
「彼女へ想いを告げるには、これぐらいが丁度いいんだよ。そうでなきゃ、届きやしないだろうね」
 炎の揺らめきの中で、鈍く光る刀身に指先を這わせる。
 誰よりも敬愛していた祖母より譲り受けて、もう20年は経つだろうか。
 もはや身の一部と言っても過言ではないほどに使い込んだ大鎌は、美しく掘り込まれた梔子の花を纏い、煌く。
 もしもこの大鎌が人と成るなら、『彼』だろうか『彼女』だろうか。この戦いが終わったら、ゆっくりと考えてみるのも悪くは無いかもしれない。
 ――帰ってこいよ。
 思い馳せるように見つめていた意識に、するり、あまりにも自然に滑り込んできた音。
 けれどそれは、あまりにも強烈に、思い詰めた意識を引き上げた。
 驚きに良く似た顔で炎の向こう側を見つめたが、そこには誰も居なかった。初めから、居なかったかのように、静かに静かに、男は姿を消していた。
「……、くるよ」
 ぽつり、零した声は、夜の静寂の中でさえ、かすかも響かず掻き消える。
 ゆるり、零れたのは、先ほどまでとはどこか違う、切実さを取り払ったかのように爽やかで……意地の悪い、微笑。
「うん、張り切ろうか」
 さてと。呟き被った漆黒色の帽子の影で。
 月に良く似た金色色が獰猛に輝いていた。




 ――黒い、扉の、向こう側。
 やはり無遠慮に壁に凭れて腕を組み、扉向こうの気配を伺うような装いを見せていた男は、やれやれと息をついて視線を戻す。
 眼前の女は、先に見た彼と同じ様子で。
 何かを、思い詰めていた。
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プロフィール
HN:
飴と花
性別:
男性
自己紹介:
飴:キルフェ。不機嫌なお友達
花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋

メッセ登録してみました。
出現率は低率の予感ですがお気軽に
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