「おにーさん、あっち、あっちのお店がかわいーの！」
　弾けんばかりの笑顔が引く腕は。
　想定以上に、強力だった。

　ラッドシティ収穫祭。その賑わいの中、折角だからと押し付けられた仮装に身を包み、ぶらぶら、目的もなく歩いていた。
　知った顔を見つけては気まぐれにダンスに誘ってみたり、逆に誘われてみたり。
　良く判らない競技の類は、横目に見てスルーしたけれど、それなりに楽しんでいた。
　そんな最中に、少女と遭遇した。
　出逢ったというよりは、遭遇だ。その方が断然しっくり来る。
「わー、わー。兎の執事さんー？」
　大きな瞳をきらきらきらきら輝かせ、穴が開くほどに見つめてくる少女に、思わず視線を逸らした。
　けれど、ちらと見やった少女もまた、いつもと違う、仮装姿。耳の上でくるりと巻いた角を見る限り、羊なのだろう。
　ふわふわと暖かそうな服と、揺れる髪。良く似合っていると、素直に思った。
「祭、楽しんでんのな」
「ふふふー、楽しいことは、いつだって全力ー。あ、あ、さっきね、あっちでかわいい飴見たの。買いにいこ、いこ」
　ふかふか手袋に包まれた手のひらが、片手でぱたぱたと何処かを示し、対の手はぐいぐいと手を引いてきて。
　はいはい、と、軽い気持ちでついていった。
　それが、運の尽きだった。
　人の波を掻き分けるように進む少女の歩みは想定以上に速い。人の中を歩くなんてことが滅多とない上に、がっちりと手を掴まれている状態では、ついていくのがやっとだった。
「おにーさん、はやく、はやく」
　たどり着いた一件目。女性向けの小物を幾つか眺めて購入した少女は、次はあっち、と踵を返す。
「ちょ……」
　そういえば魔獣だった。そういえば斧持ちだった。
　そんな思案をしながら引きずられて居るうちに、二件目。
「わー、あのお店もきれー」
「だから、引っ張んな、って……！」
　休む間もなく三件目。
　さらに勢いを増して四件目。
　以下、略。
　紛いなりにもエンドブレイカーでスカイランナーで、運び屋で冒険者。体力には相応の自信くらいあった。
　が、買い物をする時の女性の体力は無尽蔵だった。
「おにーさん、次はねー……」
「なぁあんた、ああいう菓子とか好きだろ」
　提案が、思わず口をついていた。
　すっかり着崩れたスーツを気持ちだけ正し、ネクタイを疎ましげに緩めながら指をさしたのは、小さなテラス。傍らにあるワッフルの店に、少女はころり、騙された。
「おにーさん、ドリーね、このフルーツいっぱいのがいー」
「はいはいはいはい。好きにしてくれ……」
　選ぶのも億劫だといわんばかりに同じものを二つ頼んで、ようやく一息。
「おにーさん、おにーさん」
　したところでかけられた声に、思わず、じとりとした目で睨みつけていた。
　けれど。
「たのしかったね」
　ほわり。ふわふわと暖かそうな服と、揺れる髪。くるりと巻いた羊の角が、一層映えて、愛らしくさえ見える、微笑。
　それに見つめられると。
「まぁ、それなりにな」
　そんな言葉がついつい零れる程度には、楽しかったといえるかもしれない、なんて、思ったりして。
「よおおし、おなかいっぱい！　次はー……」
　それでも腕を引かれた瞬間、全力で前言撤回したくなったのは、仕様のないことである。















もめん子絵師






かんわゆいピンナップにもだもだ（*´艸｀）
本気全力で引きずり回されてるｗｗ
女子強し。
ていうかドリーたん可愛すぎてどうしてくれよう。癒される。
ぱっと見手を繋いでいるようだけど、実際は、手を握っている、です。
飴さんから握り返すことはしませんよ。むしろ全力で振りほどきにかかってます。
収穫祭ピンの企画はオフのアフターでエコたんときゃっきゃうふふと喋ってたんだけど、熊飴は絶対もめん子絵師！って、なんかもうお互い言わずして決めてた感じだったｗ
だってこのミニキャラ可愛すぎるんだもん。
描いて欲しかったんだもん。
幸せである（*´∀｀）

とかそんなことを年の明けた今頃に日付捏造で書いている始末←
ありがとうございましたー。きゃぁきゃぁ。