木製のマグに注がれた、香ばしいオニオンスープをこくりと飲み下して、少女は満足げに息をつく。
迷路のような屋台街、ふらふらとどこにでも歩いていく背中を追いかけては、襟首掴んで引き止めて。
それでも大人しくはしない少女を、制し続けてきた男もまた、咎めはしなかった。
「あ、あ、いいにおーい」
ふらふらふら。すん、と鼻を鳴らして漂う香りを味わった少女は、その出所を探すように道を逸れる。
ちら、と道の先に屋台があるのを見とめ、小さく息をついた男はその背をゆるりと追いかける。
いらっしゃい。気さくな様子の婦人がくるり、鍋を掻き回せば、殻ごとの貝がスープの海で踊る。
それを覗き込み、空っぽのマグをわくわくの瞳で差し出す少女に微笑みかける。
「はい、おまたせ」
差し出されたカップを受け取り、わぁ、と声をあげた少女は、ぱたぱた、まだ追いついてこない男を手招いて、ずい、とマグを差し出した。
「おにーさん、これもおいしそう!」
味見、どうぞ。笑顔で告げる少女に、男はマグを押し返す。
「あんたが貰ったもんだ、あんたが飲めばいいだろ」
「おや、それなら彼氏さんにも注いであげようかい?」
ご婦人の完全善意の提案に、固まる男。
ぱちくりと目を瞬かせた少女は、微笑ましげな顔をする婦人を振り返り、それから、男を見上げて。
「……かれし?」
「に、なった覚えはねーぞ」
頭痛を覚えた額を軽く指先で押さえた男をやはり見上げ、少女はにへらと破顔した。
「おにーさんはおにーさんで、今日は一緒にスープデートー」
「デートとか最高に愉快なこと言ってんじゃねーよ。保護者だ保護者」
「えへへー。でもでもドリーは、でーときぶーん」
じゃれ付くように腕を組んでくる少女を振り払おうとして、けれど目に入ったスープに、諦めて。
そうして、抑える気もない盛大なため息をついて、少女の額を小突いた。
「冷めねー内に、さっさと食えよ」
我ながら甘い保護者だと、胸中で呟いて。
「はぁーい」
けれど、幸せそうな笑顔には、それでもいいかと、思えて。
ほぅ、と吐き出した吐息が、心なしか白さを潜めたような気配に。
あぁ、暖かいと。口元だけで呟いた。
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ほだされまくりの飴さん。
結構なきゃっきゃうふふ具合だったなって、もちゃもちゃしたんだ(*´艸`)(日本語喋れ
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花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋
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