白い部屋。黒い家具。
　漆黒色の硝子テーブルの上に置かれた、水玉縁取りの可愛げ豊かな白の食器。
　盛られたものを見つめて、赤目の男は薄らとその瞳を細めて睨む視線をつくり、艶やかな白は、そっと視線を逸らした。

「一応聞くぞ。何入れた」
「肉ともやしと卵」
「調味料」
「塩と胡椒……と、昆布だし」
　語尾がすぼむ。視線がさらに逸れる。
「…………」
「…………あと、片栗粉」
　見りゃ判んだぞさっさと言え。そんな無言圧力に観念したように、ごにょごにょと、小さな声で呟いた白曰く。
　最初の内はもやしいためのつもりで適当に塩胡椒を振って。
　唐突にあんかけ風にしたくなって水溶き片栗粉を足して。
　味が薄い気がしたので目に付いた出汁を入れてみて。
　ついでだから日にちがやばい卵を溶いて混ぜて。
　混ぜてみたら固まりすぎたので水を足した。
「……ら、こうなった」
「驚くほど不味そうだな」
　はっきり言って形容しがたい。
　入っているものはそれなりにまともなのだから、順序の問題なのだろうけど。
　だろうけど、これは、酷い。
「味見は、したんよ？」
「だからって出すな。自分で食え」
「作りすぎた……」
「自分で食え」
　全力でＮＯを突きつければ、白はしゅんと俯いて、がた、と黒い木の椅子を引いて腰を下ろした。
　そうして、人肌色の指先よりも白いスプーンを手に取り、大人しく食べ始めた。
「あんね、意外と美味い……」
「自分で食え」
「……はぁい」
　嫌いなおかずを前にした子供と、それを食べるまで見張っている親のような光景が、けれど伴うはずの微笑ましさを一切孕まずに展開されて。
「あんた、少しまともなレシピ覚えたら？」
「んー……考えとく」
　完食を以って、開放されたそうな。







今日のまいさんのご飯←←←
例によって例のごとく調理者はガルさんで。
飴さんは意外と厳しいみたいです。いや、冷たいと言うのか。
ちなみにこのあんかけもどきは白米の苦手なまいさんがご飯を処理するために作った代物なので。
不味かったらどうしようと言いながらご飯にかけて食べました。
意外と美味しかった。良かった。