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TW3より飴(c05383)と花(c11349)の日記跡地。 現在の主な成分:頭の可哀相な背後。よその子ごめん。仮プレ。飴花の(背後に対する)不満。たまに遊びに来る喪(c08070)と石(c28018)。力関係はPC≧PL。
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 捨てるという行為には、あまりに不釣合いな感情だった。
 手折られた花を手に取った瞬間から、理解していた。
 だから、消えないんだと。

+ + + + + + + + + +
 紅色の花が闇の中に飲み込まれるまでをただただ見つめ、見つめ。男はすぐさま踵を返した。
 誰にも気取られぬような場所を選び、人の目は避けてきたが、ふと、思い立ったように表通りの水路へ足を運んだ。
 少女が花を飾り、甘い香りの飲み物を配っている姿が目に留まる。
 花を封じた飴があるのだと、誘いを告げた誰かが言っていたような、記憶。
 普段なら選ぶだろうそれには視線の一つも向けず、手を伸ばし求めたのは、冷たい、果実酒だった。
 愛想よく笑う少女を一瞥だけして、ほんの少しの液体を手に、今度こそ踵を返し、帰路に着いた。
 住み慣れた、とは言いがたい――それ以上に思いたくはない――居住地には足を向けず、誰にも告げない、誰も知らない、隠れ家へ。
 家とは、呼べない場所だけれど。
 闇の内に光が降り、風は抜けても雨は落ちない。そんな場所。
 かつてそこに何があったのかを示しているのだろう、苔むした瓦礫の山。
 調べるような興味も湧かず、ただ背を預けるのに都合のいい物だと感じていたそれに凭れかかり、すっかり温くなった酒を、煽った。
 普段なら、口にするのを避けるもの。
 ほんの少しとて、飲み下せば体を巡り血を流れ、脳を侵すから。
 深い深い眠りは、例え人の気配が希薄な場所でも、避けていたかった。
 彼は隠れた姿を見つけるのが異様に得意だったから――。
「は……やっぱり、な……」
 浮かんだ自嘲に、歪んだ顔を手のひらで覆う。
 搾り出すような一言を吐ききった瞬間、すぅ。毒気さえも吐き出したかのように、どこか穏やかな表情で眠りに落ちた。
 ふとした瞬間にだって思い出すぐらい、記憶を占めた存在。
 その思い出を手繰り寄せるような真似をしたのだ。
 深く深く、眠りの底に意識をも沈めてしまわねば、夢に、見そうで。
 きっと、怖かったのだろう。
 だから、安堵したのだろう。
 気を失うような、唐突な眠りが。
 冷たいはずの夜風は、ぴたりと止んでいた。
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プロフィール
HN:
飴と花
性別:
男性
自己紹介:
飴:キルフェ。不機嫌なお友達
花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋

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