永らくやっていなかった自炊とうものを久しぶりにやることにした。
　丁度時間もあったし、材料もあったし。
　切欠なんてそんなもので、結果だって「そんなもん」で済む予定だ。
　――予定、だった。

　たまたま手元にあった米を焚いた。
　近所で調達した具を混ぜた。
　少し小さめに握った。
　誰がどう見ても、メニューに相違はあるまい。おにぎりだ。
　……おむすびと言う者が居るかもしれないとだけは、言っておこう。
　とにもかくにも、目の前にあるのは紛れも無く、おにぎりだ。
　おにぎりなのに。
「……めっちゃ、不味い……」
　口に含んだ瞬間吐き出すような味ではない。一応は。
　しかし飲み込むのに躊躇いを覚える程度には、不味い。
　おかしい。おかしいだろう。
　おにぎりだぞ。おにぎり。
　誰がやっても失敗するようなメニューではない。
　砂糖と塩を間違えたとか、そんな聞くだけなら笑って済ませられるような微笑ましいミスはしていない。ちゃんと塩味がしている。
　にも拘らず、だ。
　一先ず、コップに半分だけ残っていたお茶で流し込むように飲み込んで、盛大な溜息をついた。
「……えー……？」
　程よくカオスだった口の中が一段落して、最初に出てきたのは疑問と愚痴が混ざったような声。
　ちらと、件の物体――食べ物に向けるのは少々憚られる呼称だが、どうにもこうにもそれが似つかわしいとしか思えない――を見やる。
　なにがどうしてこうなった。
　考えて、みる。
　とりあえず、水は問題なく美味しい。お茶が美味しかったのだから。
　古い米を使ったのがいけなかったのだろうか。
　塩味が少し足りなかっただろうか。
　水の加減を間違えたのだろうか。
「ちゅうかこれ、どないしよ……」
　一人で考えたところで原因が判るわけでもなく、かといって誰かに指摘を請うにはあまりにも酷い味だった。
　そんな代物が、一つ二つ三つ……勢い余って作りすぎた。
　捨てるのは簡単だが、それは勿体無いことだと理解する理性だか良心だかが口やかましく異議を申し立ててくる。
　しかしだからといってあの強烈なまでの不味さを知った味覚と胃は、それ以上の受け入れを全力で拒絶している。
「…………どないしよ……」
　途方に暮れたところで解決策が出るわけでもないけれど。
　今は、考えるのは止めにして、お茶を入れることにした。
　そうして、後でアイスレイピア使いから氷を貰ってこようと思った。
　流石にそのまま一晩放置するのは、拙い様な気がひしひしとしていたがゆえに……。









実話です。←←←
食えるけど、なんか……え、これやばくない？
みたいなおにぎりが出来上がってしまいました。
多分、水加減間違えたんじゃないかな……。
そんな奴等が冷凍庫に転がっています。
一応、毎日お昼ごはんに食べてるよ……！
正直泣きたい。

ちなみにガルさんは料理ができません。
しません。の方が正しいのですが、たまにしか作らない上に誰に振舞うわけでもないので、基本が大味大雑把。
自分で食べる分にはそれでなんら問題ないので、特に料理を覚える気はありません。
飴さんはママに教わってるので簡単な料理ならきっちり作れます。
大体飴で胃が満たされてるので、よっぽど暇なときぐらいしかやりませんが。
食えりゃいい、は、ガルさんと同じかもしれない。
ぶっちゃけ私がそんなまともに作らないのでそれが精一杯って言う←