元気そうで何より。互いに告げた、他愛もない言葉。
積もる話があるかといえば、意外とそうでもないことに気が付く。
何故、だろうか。久しぶりと口にしながら、さほど『久しい』とは感じていなかった。
「突然押しかけてもうてすまんな。うっかり数日遅れやけども、お返し」
「んー? あぁ、シャルムーンの?」
「そう、それそれ。まぁなんや、手作りとかようやらんし、ご多聞にもれず出来あい品やけどな」
大き目の籠から箱を一つ取り出して、手渡しながら苦笑する彼に、くすくす、受け取りながら笑みを返す。
「それ、うちに言う?」
自分が祭の当日に配り歩いたものも、立派に素敵な出来合い品だ。
思い出したのだろう。そうだった、と言うように頭を掻いて、彼は肩を竦める。
「手作りできひんのは本音やけど……男から手作り品貰うてもあんま嬉しないやろ?」
箱をちらりと覗きこみ、楽譜に良く似たデコレーションを眺めていたところに聞こえた言葉に、思わず目を丸くした。
「何はともあれ口に合うたなら幸いや」
驚きに近い顔で見上げた彼は、笑っていた。
『再会』に際してもちっとも久しいと感じない程度には馴染みのある、朗らかで頼もしい笑み。
「そんじゃ、またその内にー」
風邪には気をつけて。時節の挨拶に続けて紡がれた別れ際の台詞も、気づけばぽかんと聞き流してしまっていた。
形だけでひらひらと手を振って見送ると、その手を口許に添え、うーん、と唸る。
「嬉しいけどなぁ」
呟くと同時に、唇が吊りあがるのを自覚した。
反面、眉はやや下がっていて。くすくす零れる笑いは、どこか苦笑じみて見えた。
彼は嬉しくないのだろうか。もっとも、嬉しいと言われたところで、あげられるほど素晴らしい手作り品を生み出せる自信はまるでないが。
「ま、なんにし――」
一先ずは、頂いたものを美味しく頂くとしよう。
胸中で満足げに頷いて、鼻歌交じりに踵を返した。
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家というか宿は基本誰にも教えてないので押しかけるとか言わせつつ道端あるいは酒場でばったりなんだろうなと思った。
そして何だかんだでちょいちょい顔を見てるんじゃないかと思う。
一方的に←
そういえばキルシュトルテなるものを今回初めて目にしました。ぐーぐるせんせー便利すぐる。
イメージ湧かせるためにレシピも見るけど、作る気は湧かない不思議←←
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花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋
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