ほら、キルフェ――。
ざわざわする。胸中に燻る何かが煩い。
締め付けられるほどの苦しさでもなく、かといって全く気にならないほどのものでもない。
ざわざわ、と。戦慄くように、啼いている何か。
……泣いて、いる?
かたん。小さな音が、夜闇に響く。
誰も彼もが寝静まった頃……なんて、そんな甘い時間帯では飽き足らず、誰も彼もが出払った、そんな瞬間を狙った。
そうして、最近すっかり居場所として馴染んでいる廃屋の壁を、見渡した。
目に付いたのは、入り口。その傍らに提げてある、一冊の手帳。
そっと歩み寄り、開く。暗がりの中では文字列を的確に読み取ることは難しかったが、丁寧に書き連ねられたそれは、おぼろげな輪郭だけでも、内容が知れた。
一度ずつ、書き加えられる度に目を通した。同じ場所を共有している者たちの、名前。
行を縦に追いかけていると、ぽつ、ぽつと、記憶の淵から湧くように思い出される。
記録を綴る当人の名前。一人目、二人目……は、自分。
――三人目は、何故だか意識が拒絶した。
そのまま、飛び越えるように四人目、五人目と追いかけて……途切れていた。
ぱたり。極力音を立てずに閉じたはずが、静寂だけが支配する夜の空気には、そのかすかな音さえも酷く響く。
そのまま、さっさと踵を返して、その瞬間には今しがたの自分の行動の理由さえ忘れているはずだった。
はず、だったのに。
手帳を閉じる指先が、その姿勢のまま、いつまでも離れない。貼り付けられたかのように、ぴったりと、触れたまま。
目を伏せる。思い起こす。当人、一人目、二人目――。
ほら――。
ばしっ、と。爆ぜるような音がして。気がつけば、手帳を壁に投げつけていた。
紐で提げられたそれは、背表紙や角を何度も壁にぶつけながら、ゆらゆら、揺れる。
それを見つめる瞳も、揺れていた。
ぎり、と、噛み締めた奥歯が軋んだ音を立てる。どうして、こんなにも動揺しているのだろう。
他愛もない、ごく日常的な一言のために、どうして、こんなにも。
理由を考えるような言葉をよぎらせていながら、思考は、それを突き詰めるのを拒絶した。とうに、理解していた。
被るわけではない。似てもいない。重なる要素は何一つない。
それでも、彼が、初めてだったから。
引きずり出される。記憶に、苛まれる。
苛々する。腹立たしい。不愉快な感情が表情を険しくゆがませる。
けれど、どうしても、拭いきれない快さが、存在して。
耳を塞いで、蹲った。
「煩い……」
他人との会話など、事務的に耳を流し、記憶を掠めることなく擦り抜けてしまうはずだった。
時が経てばすぐにでも、忘れてしまえるものだった。
普段、仕事で、必要性に準じて言葉を交わす時のように。
「煩い……っ」
耳朶に燻る声が、声が、こえが。
勝手に、摩り替わる。
「あんたじゃない!」
珍しく。声を、荒げれば。ぱっ、と、燻っていた何かが、爆ぜて消えた。
息が詰まっていた現実に気が付いて、ぜぇ、と大きく吐きだした。
ゆるゆると降ろされた腕が、床に触れる。空気が震えた余韻だけが、痛いほどの静寂の中に残っている。
誰も彼もが出払った時を狙った。
――初めから、判っていた。
それでも、堕ちて、堕ちて、それから、否定しなければ、胸中の燻りが晴れないことを、知っていたのだろう。
感情とは、随分と手間のかかるものだと。自嘲して。
ぎしぎしと軋む音を立てながら、部屋へと戻った。
これできっと、明日から、また――。
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背後がリアルにざわざわしたんだ。
あれ、呼ばれるの初めて……?て。
依頼は忘れることが前提なので会話とかも何も覚えてない。
てか人の名前を覚える気がない。廃屋面子はご近所さんの名前覚える気分で記憶してるとは思う。
が、たぶんにゃんこたんの名前だけは覚えられないと思う。すまん。
感情にムカつくとかあったら間違いなくつけてるんだけどな。ないよね。ねーわな。
しょーらいのゆめ、キルたんに名前を呼ばれることにすりかえておこうか…←
まあ、元々ちょっと名前について思う所があったからそれはその内。
うん、たいしたことじゃないけど。
てゆうか、そこまでざわざわさせてたかwすまんw
ムカつく感情付けられたいーーー(*ノノ)
気に入らないとかでもいい。
鼻につくでもいい。
中々ピンとくる感情がなくて感情を変えあぐねてる今日この頃です。
別段気にしないでいたはずなんだけども、(私が)あんまりざわざわしたもんだからさ、うん、地雷にしちゃった☆←
や、大丈夫。大丈夫。覚えてはいるんだ。
思い出せなくなっただけで(それ何が大丈夫?
いやいやいや、何か凄く嬉しかったんだけど、全く違う人間と被るのが苦しいってかいっそ申し訳ないので意識にとめたくないって言う、ね。だからほら、好意はある。ある。あるさ。
個人的に名前を呼んでって要望は超悶えるんでしょーらいのゆめにちょっとときめいた。
きーすちゃん、ぐらいならミヤビたんの復唱で嫌味ったらしく呼んじゃうかもしれない。←
てか、その内が気になってしゃーないんですがそわそわ。(’’
負の感情があったらいーのにー!
だって絶対好意じゃないもん。癪に障るがベストなんだけどなー!
そろそろ嫌いじゃないから顔見知りぐらいにランクアップ(?)しようと思ってんだけど、
にゃんこたんだけちょっと顔見知りも違う気がしてる。うーん。やっぱり癪に障るがほしい。
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花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋
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