開け放たれた扉。そこに佇む誇らしげな姿を見て、ただ素直にそう思った。

　廃屋と言う場所は廃れた家屋というだけあって、酷く荒れていた。
　幸いなことに、部屋を掃除をする行為は幼い日の猫かぶりのおかげさまで慣れていたが、それを止め、住み慣れた街を離れてからは、習慣の内からは外れていた。
　適当に物を排除し、目に付く埃を払い、ぱっと見て綺麗になったのを眺めて、満足げに息をつく。
　開け放った窓から吹き込む風は、寂れた空気を持ちながらも意外と心地よく、あぁ、静かだな、などとぼんやりと思案に暮れかけた、その時だった。
　ぱたぱたぱた――。
　響く、足音。
　誰のものかは何となく察しが着く。ここに住を置く者は、それぞれが判りやすい足音を持っていたから。
　姿を見ずとも、判るから。それが近づいてくるのを聞き止めると、無意識に眉の根が寄る。
　それは静かな空気が掻き消えるのを感じての、ささやかな不満、それへの、ささやかな抵抗。
　不機嫌を表して邪険にすれば、大抵、気まずそうな顔をして立ち去ってくれるのだ。
　……もっとも、ここは、そんな態度が愉快だと言わんばかりに寄って来る物好きの割合が、異常なのだけれど。
　だから、「ささやかな」抵抗なのだ。
　思案している内に、足音はいよいよ部屋の前までたどり着き、予感したとおり、お邪魔します、とでも言うかのように、勢い良く扉が開かれた。
　鍵をつけるべきかと思いつつ、予定通り睨むぐらいはしてやろうと振り返って。
　けれど、思わず、目を背けて窓の外へ向き直った。
「ご主人様、お掃除しに参りました♪」
「間に合ってます」
　物凄く素直な感想だった。
　そして我ながら素晴らしい模範解答だと思った。
　なにがどうなってこうなった。そんな思案を一瞬だけ展開し、けれどすぐに止めて、一先ず、盛大な溜息をついてから、そろそろと振り返り、改めて来訪者の姿を捉えて。
「なに、それ」
　とりあえず、尋ねた。
　すると、賑やかな足音の印象に相応しい、明るい笑顔が、良くぞ聞いてくれましたと言うように胸を張る。
「あら、キルちゃんがくれたんじゃない。似合うからって☆」
「んなこと言った覚えはねーぞ」
　じとりと睨みつけてやれば、彼は笑顔のまま肩を竦める。
　彼と呼びつつも普段からどこか少女らしさを漂わせる容姿の少年は、何故だか今、普段以上に「少女」をしていた。
　黒いスカートにフリルの付いたエプロンはいずれもふわふわひらひらと動くたびに揺れ、赤だ青だと華やかで大振りなリボンがやたらと目立つ。
　それは記憶の端にあったもの。
　以前、そう、随分、忘れてしまうほど前に、依頼の報酬として受け取った品の中にいた布の塊。
　一言で言えば、メイド服だ。
　捨てればよかった。脳裏に過ぎったからと、気まぐれに手渡したりしなければ良かった。
　渡した瞬間も似たようなことを考えていたような記憶がふと蘇る。そこで取り返しておかなかった過去の自分を責めた。
　――ほんの、少しだけ。
「……やっぱ、違和感ねーな」
　似合う、とか。そういう台詞は、自分が吐くものではないけれど。
　似合わない、とは、思わなかった。
「似合うって意味だと思っておくわ♪　それにしても……折角着てきたのに、本当に間に合ってる感じね～」
「生憎と、こう見えて掃除は得意でね」
　言うほどではないのは、彼も、判っているのだろう。くすくすと抑えた笑いを零しながら、手にしていたハタキをタクトか何かのように振り回す。
「それじゃ、せめて振りだけでもしていこうかしら☆」
「間に合ってるっつってんだろ。大人しく……」
　帰れと、言いかけて。ふと、思い出した。
「菓子、持ってきたんだろうな」
　甘いものと一緒に。それが、彼が提示して自分が呑んだ『条件』だ。
　追い出されると思って、切り札に隠していたのだろう。一瞬驚いたように目を丸くした彼は、しょうがないわね、などといいながら小さな包みを取り出した。
「よっぽど、美味いんだろうな？」
「勿論♪」
　告げた彼は、やっぱり、誇らしげだった。
















もめん子絵師




（*ノノ）

とゆーわけで。以前飴さんが何となくあげたメイド服のお披露目ピンでしたー。
むふふ。狐子ちゃんちょぉかわうい。でれれ。
まさか台詞が入るとは思ってなかったのでびっくりだ！
コミカル感が増して良いですな良いですな（*´艸｀）
絶対領域たまらんですな。
えろくない程度に軽量化してくださいとか言ったからかしら。可愛らしさが強調された感じのデザインで帰ってきましたね！
しかし我ながら無茶を言ったと今更思った＾ｐ＾←
にしても、どーんっ　と現れた狐子ちゃんが本当に誇らしげだｗｗ
えへへ、とっても似合ってゆよ（*ノノ）
でっかい方のスカート持ってハタキびしーっとしてるのがちょぉ好き。
これは、貰ったメイド服のお披露目もかねてます！ってかいたからか！
似合うでしょ？な感じのポーズが狐子ちゃんらしいと思った。（*´∀｀）
飴さんは飴さんでなんか上脱いでてびっくりした！
……あれ？書いたっけ？←痴呆
書いたにしても忘れてたのでびっくりだ！くつろいでる感じになってるのでとっても良い！
うわなんかきたよ面倒臭ぇって感じの面が飴さんらしいなｗｗこのど外道がｗｗ←
狐子ちゃんはお菓子持ってきてくれてると信じてるよ。
わいわーい。もめん子絵師様ありがとうございましたー。きゃっきゃ。