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TW3より飴(c05383)と花(c11349)の日記跡地。 現在の主な成分:頭の可哀相な背後。よその子ごめん。仮プレ。飴花の(背後に対する)不満。たまに遊びに来る喪(c08070)と石(c28018)。力関係はPC≧PL。
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 誰に知らせるでもなく、誰を寄せ付けるでもなく、ただ自分だけが、必要とするでもなく知っている、場所。
 静かな時間を過ごすために探した場所だったはずなのだけれど。

 ――なんだか愉快なことになっている。

+ + + + + + + + + +
 つぎはぎだらけの黒猫のぬいぐるみが煤けた色の壁に凭れかかり、その傍らに寄り添うように兎のぬいぐるみが並んでいる。
 ゆるりとした子守唄を奏でるオルゴールは、きりきりと音を立てる螺子が何度も何度も繰り返し巻かれ、人の気配がなくとも歌い続ける始末。
 ここ最近で自分の周りに自然と居るようになった人間の目に留まれば、きっと異様な顔をされるだろう。
 なにしてんの。
 こっちが聞きたい。

 ――けれど。

 自分の周りにいた「友人」の目に留まろうとも。
 意外だと笑われるだけで、特別な疑問は持たれなかっただろう。
 たまにはいいだろ。
 そう言って笑う姿が容易に想像できた。
 否、思い出せた。


 吐き気がするほどの、愛想のよさ。


 誰よりも慕い、あるいは依存し、愛しさえした「親友」の居なくなった日常でさえ。
 張り付いたような笑みが離れない。
 彼等がそれしか知らないから。
 彼等の認識が異様に変われば、それは母の耳に届くから。
 それを受けた彼女がどんな反応をするのか。想像は、容易で。
 護りたかったのか、関わりたくなかったのか。
 今となっては判らないけれど、母の憂いを良しとしなかった感情は確かにあって。だから、笑っていた。
 そんなじぶんがうとましい。
 そんな、時間が、堪えられなくて。逃げ出すように町を出て、全部忘れた。
 口を開くのも煩わしくて、前から好んで食べていた飴をひたすら口に突っ込んでは噛み締めるように口を閉ざして。
 いた、はずなのに。
「なに、してんだか……」
 悪態めいた呟きを零しながらも、浮かべる表情は、苦笑で。
 悪くないと思い始めている感情くらいは、自覚できた。
 自覚できるからと言って、受け止められるかと言えば、それはまた違う話なのだけれど。
「狐もありゃいいな。あとは……花でも添えとくかね」
 くつくつと喉を鳴らして笑い、冗談めかして呟いて、踵を返した。
 立ち去る間際、足元に転がっていた小さなぬいぐるみを拾い上げ、小さく笑う。
「俺はこんなファンシーな面してねーっつの」
 手のひらサイズの針鼠のぬいぐるみを、指先だけで器用に運びながら、今度こそ、立ち去る。
 ふようなもの。どうせいずれ、きえるんだ。
 誰も知らない、人気のない場所には、静かな子守唄が響いていた。
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プロフィール
HN:
飴と花
性別:
男性
自己紹介:
飴:キルフェ。不機嫌なお友達
花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋

メッセ登録してみました。
出現率は低率の予感ですがお気軽に
mai-maieb@hotmail.co.jp
登録時にはメールも一緒に送ってくださると確実です

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