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TW3より飴(c05383)と花(c11349)の日記跡地。 現在の主な成分:頭の可哀相な背後。よその子ごめん。仮プレ。飴花の(背後に対する)不満。たまに遊びに来る喪(c08070)と石(c28018)。力関係はPC≧PL。
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 開くのには少し勇気が要った。
 綴った返事には、いつも以上に時間をかけた文字が並んでいた。

+ + + + + + + + + +
 書き終えた手紙を手元から離した途端、溜息が零れた。
 何に対しての溜息だかは、自分でも良く判っていない。
 ただ、無性に、気が張っていた。
 送られてきたのは、特に取り留めのない……そうと言い切るには、多少、特殊な内容だけれど。
 それでも、日常を綴る日記に近いような取り止めのなさは、確かにあった。
 そんな、手紙に。気を張る必要は、皆無だったはずなのに。
 借り宿の机の上、放り出されたままの手紙を綺麗に折り畳み、封筒の中に仕舞い込む。
 裏返して、差出人の名前を見て、少し、ほんの少しだけ、眉を潜めた。
 こうして、こんな形で見る名前だとは、思ったことが無かった。
 手紙と同様、美しい文字は、仄かな香りが滲んでいるようにも思えた。
 洒落ていて、全体的にどこか高級感のある、手紙。
 ほんの少し、少しだけ。
 ――怖かった。
 本人を前にしている時には感じたことのない恐怖が、何故だか強く、胸中を占めて、締め付けた。
 手放してしまった手紙には、何を綴っただろうか。
 失礼を書いてはいなかっただろうか。
 なんだか突き放すような言葉を書いたような気がする。
 気がするけれど、もう、遅い。
 項垂れて、悔いた。
 本人を前にしている時には感じたことのない恐怖。
 そう言い聞かせてはみたが、本当は、感じていたのかもしれない。
 初めて逢った時、から。
 雰囲気が、言動が、少し、似ていたのだ。
 それはきっと、取り巻く環境が似ているせいなのだろう。
 本人の性格を見るより前に、『その環境の中にいる存在』を、拒絶していた。
 悪い癖だと、以前は自覚していたのだけれど。
 最近すっかり関わりのなかったせいか、自覚すらも薄れていたようだ。
「あかんなぁ……」
 無意識に避けていたかもしれない。悪意に似た感情を向けていたかもしれない。出逢ってからはほんの短い時間だが、思い返すほど、後悔は記憶に派生し、広がる。
 けれど、膝を抱えて蹲っている場合ではなかった。
「行こう、か」
 相手に自分がどう思われているかは、知らない。
 突き放しておいて今更歩み寄ろうだなんて虫のいい話かもしれない。
 それでも、ただの偏見のまま、避けたくはなかった。
「ごめんね……」
 だって君は、言葉を交わすほどに純粋で無垢な姿を晒すのだもの。
 濁りのない純白に、いつか瞳が焼かれるような気がするほどに。
「ごめんね、――」
 君が、気付いているのなら。
 いっそ咎めてくれればいい。


 それはじこまんぞくのすくいでしかないのだけれど。
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HN:
飴と花
性別:
男性
自己紹介:
飴:キルフェ。不機嫌なお友達
花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋

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