目に留まったものをひたすら投げた。ひたすら蹴った。
何をしても、苛々が収まらない。その理由が判らない。
思い当たるものは、あった。一応。
けれど、思い浮かべた瞬間、吐き気にも似た感覚が、無理やり掻き消した。
どうかしてる。
言い聞かせるような言葉は、ここ最近増えた、口癖。
その代わりに、消えた口癖。
勝手にすればいい。
これほど都合のいい言葉はないと思っていた。
受け入れるでもなく突き放すでもなく、尊重するでもなく否定するでもなく。
自分と他人を区別するのに、多用していた。
それが、いつからだろう。いつの間にか減っていて、いつの間にか、消えていた。
勝手に。その言葉に代わって、具体的な提案が綴られて。
悪くないと肯定することが、珍しいことではなくなって。
ふと、我に帰って、自嘲が溢れた。
「どうかしてる」
喉の奥が音を立てる。乾いて掠れた笑い声。
抑えた笑いが落ち着けば、また、苛立ちが膨らむ。繰り返し。繰り返し。
唇を噛み締めて、指先に触れたものを掴み、振りかざした。
少し冷たい、硝子の感触。
からん、と。音を立てた、何か。
『……あげる』
口ごもった末に吐き出された小さな声が、脳裏を掠める。
からん。ゆるゆると下ろした腕の動作にあわせて、また、何かが音を立てる。
視線をやれば、淡い桃色が目に留まった。
からん。
音を立てるそれは、飴玉だった。
瓶に詰められた、桃色の飴。
自分が買ったものではない。棒が付いていないそれは、好んで買うような物でもない。
貰ったのだ。そういえば、つい、このあいだ。
何を思い、どういう意図で渡されたものかは知らない。
それでも、何かを思い、意図を篭めて渡されたそれは、何故だか荒みきった胸中をなだらかに整えてくれるような気がしていた。
「は……本当、どうかしてる」
泣き出しそうな顔で見つめ、また、傍らに置いた。
それから、封を切ってもいない瓶の口に、赤い紐を括った。
「あんたの大好きな子兎から」
指先で弾いた瓶は、澄んだ音を立てる。
その音は、小さな少女の瞳に、良く似ていると思った。
「自慢、してやるよ。ばーか」
くすりと笑ったその顔は、今まで、ただ一人にしか向けたことのない、酷く穏やかで優しい笑みを浮かべていた。
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ひとしきり荒れて丸くなった飴さん。
でもこんな顔見せてやらないんだかんね。9割ツンとまだ言い張る←
カーチフも手袋も返さねーかんな。
借りは忘れないから。
…泣いてないもんね!(´;ω;`)ぶわっ
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花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋
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