「暇な奴現地集合な」
ひらり。闘技場の申請書を客間に置き、一言告げて、立ち去った。
去り際、何かを書き込む音が背後から聞こえたかと思えば、にっこりと笑う気配が続いて。
「暇人、一人入ります♪」
真っ先に。返ってきた、少年の言葉。
ほんの、かすかに。振り返らない表情が強張った。
「あの…ご一緒させていただきます」
だが、それを自覚するより早く、次いで響いた少女の声に、表情は掻き消える。
「よろしくね」
「はい、こちらこそ」
にこやかに言葉を交わす様子を肩越しに振り返り、そのまま、何を言うでもなく踵を返した。
廃屋を後にする間際、先ほど自分が置いてきた紙と同じものを手にする女とすれ違う。
「…あんた、出るのか?」
「え、あ…はい、よそからですけど」
「ふぅん。当たるといいな」
「……そう、ですね」
戸惑うような、躊躇うような。そんな言葉に笑い声を上げて、止めていた歩を再び進める。
彼女とは、一度、戦ってみたい。それはただの興味だが、きっと完膚なきまでに叩きのめされるだろうと予想できると、それを覆してみたくなる。
負けず嫌い、とでも、言うのだろうか――。
「あの…今回は、誰と…?」
ぴたり、と。また、歩みが止まる。言葉を吐き出そうとする喉が、ちりと痛んだ。
「……客間いきゃ、判る」
紡いだ声は掠れていなかっただろうか。不安じみた感情をごまかすように舌打ちして、それ以上の追求を拒むように、足早に立ち去った。
その足は、癖づいたように決まった道を歩いた。
普段、憂さ晴らしに訪れる場所。その入り口で、たまたま、見止めた姿に。露骨に眉が寄った。
「よ…偶然」
軽く手を上げて緩く微笑んだ青年の手には、既に幾つかのアイテムがあった。帰るところなのだろうと勝手に納得して、お疲れ、と、労いだけを投げかけてすれ違う。
「えー、一緒に行ってくんねえの?」
「あんた、帰りだろ」
「もう一回行くつもりだったんだけど…ま、いっか。お先ー」
さっさと離れようとする背中に、拗ねたように口を尖らせたのも、一瞬。
先と同様軽く手を上げ、ひらりとした身のこなしで踵を返した青年の背を、なんとなく、視線で追って。見えなくなったのを確かめてから、乗り込んだ。
長い時間いたわけでもない。つもりだったが、思ったより時間を食っていた。暇潰しと思えば丁度いいかと、溜息混じりに帰路につき、既に馴染みとなった廃屋へと立ち戻れば、薄闇の中、ぽつりと明かりを灯した客間に、人の気配を見つける。
かりかりと小気味のいい音で筆を走らせていた男の姿を見止めると同時、彼もこちらに気づいたらしく、手元の紙を差し出してきた。
「丁度手すきだったのでな、埋めておいた」
「そりゃどーも」
申請書を受け取り、居並んだ名前にざっと目を通して、適当に折り畳む。
それから、ちらりと、客間の一角に備えられた大瓶に目をやった。随分と減っている。試合の帰りに買い足しておこうかと、思案して、もう一度、男に視線をやった。
「……何か、用か」
「いや、別に」
肩を竦め、踵を返す。
酒場で見かけたのを思い起こし、激励でも、と気まぐれに思ったが、顔を見た瞬間、労うなら帰ってきてからの方がいいだろうと思い直した。
そのまま、何を交わすでもなく、自室へ。
入ってしまえば、それまでだったのに。
「あら、お帰りなさい」
間の悪い遭遇。部屋を出ようとしていた少年に微笑まれ、また、表情が強張った。
自分にも、相手にも、気取られない程度だったけれど。
「闘技場、バトルロワイヤルの登録もしてあるのね。太っ腹~☆」
楽しみだというような顔を、見つめ。ぽん、と、頭に手をやった。
「何、何?」
「別に」
そんなに驚くことか、と、睨むような眼で一瞥して、空っぽになっていた口の中に放り込むための飴を、懐の中で漁る。
包みを解いたそれを口に仕掛けて。ふと、思いついたように、少年に差し出した。
「……どうしたの?」
「……じゃぁ、餞別」
「じゃあ、って。変なの」
くすくすと笑いながらも、受け取った少年を見て。
無理すんなよ。
口をつかなかった自分を、褒めてやろうと思った。
「明日、遅れんなよ」
お休み、の代わりにそれだけを告げて、今度こそ、自室へと逃げ込んだ。
もう何度目とも知れない溜息が零れる。妙な一日だった。
普段はそうそうないことだ。同じ場所を拠点としても、同じ場所に居はしない自分たちが、同じ日に、顔を合わせるなんて。
そんな偶然が、どこか、心地よいと、感じていて――。
「どうかしてる」
認めることを拒むように、自嘲の笑みを吐き出して。
腰を下ろしたベッドに、そのまま転がった。
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おかしいな、狐子ちゃん無理しちゃやーよが主旨だったはずなのに。←
というか途中まではそうだった気がする。まぁ、いいよね。じこまん←←
廃屋面子って、よその旅団より遭遇率低いと思うんだ。
お部屋ノックしても空っぽのことのほうが多いんじゃなかろうか。
いや、居留守する奴も居るだろうが(笑
だから何気なく逢っちゃうときっと嬉しい。
氷飴が解けてる気がした。
後半はテンションがおかしかったのは言うまでもない。
頭ポンってされちゃった(*ノノ)
遭遇率低いと思う。
下手したら会わない日もあるんじゃないかな?って勢い。
だから見かけたら絡みに行きたくなるんだろうな。
あとあと、怪我気を付けます(`∇´ゞ
絶対に…とは言えませんが…
ギガンティアとかだと思いっきり前でビシバシやってるんだよね、最近。
飴さんは猫さん見てて、触れに行ったんだと思います。
あれならありか、みたいな。
いや、素面で唇タッチしちゃう奴だけど一応ね、うん、見た目女子には遠慮。←
逢わない日ありそう!
ていうか飴さん自身が極力逢いたくないタイプだから本気で一日に全員と会うのは稀だと思うんだ。
あ、うん、その、ごめんね、ごめんね(。ノノ)
前に出て欲しくないわけじゃないんだよ。うん。
伸ばせば届いたはずなのに、っていう後悔みたいなのの八つ当たり的なあれというかそれというか…うん、苛々は自業自得なんだ!
だから狐子ちゃんもがんがん前に出るといい。
それ以上に飴さんががんがん出てくから。
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花:ガルデニア。ピンクの似合うお友達。
喪娘と末子も背後は一緒。
あっち女子部屋、こっち男子部屋
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