だからつい、手を伸ばしていた。

「まぁ、何かしら」
　さらり。黒髪が音を立てて流れ、指の隙間から零れる。
　小首を傾げる仕草にあわせて、一層。
　ほんの少ししっとりと濡れたような感覚を伴ったそれは、指先で掬えば、簡単に浮き上がるほど軽い。
　隠れていた肌は、簡単に、覗けた。
「……ピアス」
　髪に覆われていた、耳元。
　その一部に、小さな宝石をあしらったピアスが、いた。
　光を反射するほどの光沢は無い。宝石のように見えるが、ひょっとしたら硝子かもしれない。
　そもそも、漆黒に覆われていたそれは、目に、つくことなどありえなかった。
　けれど、ふと、吹きぬけた風が。ほんの少し、その覆いを退けた瞬間。
　目に、ついたのだ。
「前から、つけてたか？」
「いいえ。ついさっき」
「ふぅん……」
　さら、さら、さら。呟く声と同時に失せた興味が、指先から流れる髪と共に、零れていく。
　纏わりつくこともなく、最後まで綺麗に滑り降りた頃には、もう、踵を返しかけていた。
「ねぇ」
　呼びかけるだけの、声。
　興味を惹こうとしているようで、意識を縛る意志のない、声。
　それでも、視線をやるには十分で。紡ぎだされた唇から、ほんの少し――目線まで、あげた。
「何か、ないのかしら」
　悪戯っぽく笑う顔に、一つ、溜息を返してから。
「似合ってんじゃねーの」
　多分、正解だろうと思われる言葉を捜して、吐き出した。



むしゅめとむしゅこ。別にむしゅめはピアスつけてないよ。
そーいえば周りにピアスつけてる人いないなーて思ってね。
そゆ人がある日ピアスあけてたりしたら、多分気付くな、って。
そんで唐突に髪掬って確かめるんだろうなって。隠れてるならね。隠れてないなら見るだけだよ。
で、あ、やっぱりついてる。って判ったら、勝手に満足するんだろうな。
というのをとーとつに考えたので、むしゅめにきてもらった。
だってこれ他人にやったらセクハラｗｗｗｗ