そうと評していただけて嬉しい限り。
けどまぁ、やっぱり悔しくはあるよ。
名前を聞きたかった。ずっと、知りたかった。
上手く交わされてたようだったから、知ることが何か重大な結果に繋がるのかと思ってたけど。
まさかねぇ。
……まさか、ねぇ……。
思い至ってれば、何か変わってたかな。
変わらないかな。

連れ帰ることまで考えてたし、相手がマスカレイドだとしたら、強制的に従わせる動きがあると思ってたから、それなら護ろうと、思ってた。
既知で、信頼してて、自ら乗っかるとは思わなかったなぁ。
あーくやしい。

うん、もう一踏ん張り、しないとね。
折角名前を聞けたんだ。呼ばせてもらえないと気がすまない。
ねぇ、シェラハ。しつこい追っかけになっても、君は許してくれるよね。

頭の中が色々ごっちゃで、何から言えば良いのか判らない。
嬉しくて、楽しくて、愛しくて。
どうしようって、笑った。

なきたかった。でもがまん。
だって、こんなによろこばしい

待つのは好きだよ。迷惑なんて一つもない。
辛くなんてなかった。

それは、われながら、
じつにへたなうそだけど。

ただいまが、幸せだったよ。
ありがとう、おかえり。

ごめんね、やっぱりだいすき。

初日。
さすがに体中が痛くてふらふらしていて、治療を終えるとすぐに眠った。
ベッドが硬いと思うのは、慣れてないせいだろうか。

二日目。
天井を見上げてぼんやりした。
手紙を書きたいと看護師に紙をたくさん貰って、結局殆ど使わなかった。
自分にしては簡潔に伝えられたなと、余った紙を眺めて思った。
無駄口というだけあって、口を開かない分には無駄は増えないのかもしれない。
知れないけど、黙ってられるほど大人しい人間でもないのは自覚できてると思う。

三日目。
暇すぎる。寝ておきるばかりでは退屈だと思って、余っていた紙に少し落書きをしていた。
すぐに飽きて、折り紙を始めた。
折り方を忘れているものが結構あって、懐かしいなという感覚が改めて沸いた。
とりあえず鶴を折って、船を折って、紙風船を折って。
ぱぁん、と音が鳴るあれを作って鳴らしたら怒られた。
仕方がないので紙風船を弾いて遊んでたら飛ばしすぎた上に運悪く踏み潰された。気づいてないし。
思いついたように紙飛行機を折っては飛ばしを繰り返していたら怒られた。
大人しくしてろって言われても、暇なんだもの。





＊　＊　＊　＊　＊
折角なので一人遊び。
ガルさんは結構子供。

一つ目。最下層に佇む喫茶店
二つ目。星空の広がる下
三つ目。廃れた生活の場所
四つ目。首を斜めに傾けて正しい場所
五つ目。血の気配が満ちる場所
六つ目。暗い自然に満ちた場所
七つ目。穏やかな和み空間

八つ目。
には、まだ至らない。
いつか増えるだろうけど、それはまだ先。
そう、あってほしい。

　吐く息が白んできたなと考えて。
　寒い、と。思わず零した言葉に。

　あぁ、今年もまた、そんな季節になったのかと瞳を眇めた。