白い空間に、黒い家具。
　この場所を『家』に見立てれば、情景は自然とそうなった。
　現とはどこか違った世界でだけ顔を合わせる者が居て。
　何もかも、知っているし判るからこそ。
　彼らの間に遠慮は無縁だった。
 

変わらない、変わってない。

真正面から目を合わせることなんて。
こちらから声をかけることなんて。


今までだって殆どなかったんだから。


だから、違う。


真正面から目を合わせられないなんて。
こちらから声をかけられないなんて。

そんなんじゃ、ない――。